英文会計を初めて学習する方のための入門講座です。
当記事は、「英文会計入門講座」の5回目です。
<第4回>棚卸資産について英語で理解しましょうの続きとなります。
今回は、貸借対照表(Balance Sheet:BS)項目の一部である、現金(Cash)、および、その他の債権債務の代表的な項目について見ていきます。
また、費用(Expense)や収益(Revenue)を正確に期間対応させるため、決算整理(Adjustments)で使われる経過勘定についても見ていきましょう。
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1.現金、および、その他の債権債務
まず、貸借対照表(Balance Sheet:BS)項目の一部である、現金(Cash)、および、その他の債権債務の代表的な項目について見ていきます。
現金、および、その他の債権債務
- 現金(Cash on hand)・預金(Cash in bank)
- 貸付金(Loan Receivable)・借入金(Loan Payable)
- 未収金(Other Receivable)・未払金(Other Payable)
- 前払金(Advance Payment to Vendors)・前受金(Advance Receipt from Customers)
- 立替金(Other Advance Payment)・預り金(Other Advance Receipt)
- 仮払金(Suspend Payment)・仮受金(Suspend Receipt)
(1)現金(Cash on hand)と 預金(Cash in bank)
現金(Cash on hand)と預金(Cash in bank)から見ていきましょう。
①現金(Cash on hand)
現金(Cash on hand)は、紙幣(Notes)や硬貨(Coins)のことです。
現金(Cash)には、少額の支払いに備えて社内に置く手元現金である小口現金(Petty Cash Fund)のほか、通貨代用証券を含みます。
通貨代用証券とは、まだ現金化されていないけれど、限りなく現金(Cash)に近いもので、以下が該当します。
通貨代用証券
- 他人振り出し小切手・送金小切手(Checks/Cheques)
- 郵便為替証(Money Order)
- 株式配当金領収書(Dividend Warrant)
- 支払期日到来後の公社債利札(Interest Coupon on Bond/Debenture)
②預金(Cash in bank)
預金(Cash in bank)は、以下のような種類があります。
預金(Cash in bank)の種類
- 当座預金(Current Deposit/Checking Accounts)
- 普通預金(Ordinary Deposit)
- その他所預金勘定(Miscellaneous Bank Accounts):通知預金や別段預金
(2)貸付金(Loan Receivable)・借入金(Loan Payable)
貸し付けた場合は、貸付金(Loan Receivable)勘定、借り入れた場合は、借入金(Loan Payable)勘定を使います。
借用証書による金銭の貸借であり、銀行からの借入(Bank Loan)や従業員に対する貸付(Loan to Employees)などが該当します。
(3)未収金(Other Receivable)・未払金(Other Payable)
商品(Merchandise)以外のものを代金後受付け/後払いの約束で売買した際、代金を受取る/支払うまでは、未収金(Other Receivable)勘定、または、未払金(Other Payable)勘定を使います。
売掛金(Accounts Receivable :AR)または買掛金(Accounts Payable)は、商品(Merchandise)の取引に使い、未収金(Other Receivable)または未払金(Other Payable)は、商品(Merchandise)以外の取引に使います。
通常、業者(Vendor)への支払いは、請求書(Invoice)を受け取った時点で、経理部(Accounting Department)の支払担当は、その経費を費用(Expense)計上し、未払金(Other Payable)を計上します。
- 商品(Merchandise)を購入・販売した後で、現金を支払う義務や現金を受け取る権利:買掛金(Accounts Payable:AP)または売掛金(Accounts Receivable :AR)
- 商品(Merchandise)以外を購入・販売した後で、現金を支払う義務や現金を受け取る権利:未払金(Other Payable)または未収金(Other Receivable)
(4)前払金(Advance Payment to Vendors)・前受金(Advance Receipt from Customers)
商品(Merchandise)の仕入・売上に先立ち、代金の一部または全部を授受したときに、仕入・売上計上までの間に使う勘定です。
会社が支払った場合は、前払金(Advance Payment to Vendors)勘定、受け取った場合は、前受金(Advance Receipt from Customers)勘定を使います。
たとえば、海外との取引や、初めての取引の場合は、時間がかかったり、信用が無いと言った理由で、前払金(Advance Payment to Vendors)が必要になることがあります。
(5)立替金(Other Advance Payment)・預り金(Other Advance Receipt)
取引先や従業員に対して、一時的に現金を立て替えて支払ったときは、立替金(Other Advance Payment)勘定、一時的に現金を預かった時は、預り金(Other Advance Receipt)勘定で処理します。
また、従業員(Employee)に対して支払う給与(Salary)から控除される源泉所得税(Withholding Income Tax)などは、税務署(Tax Office)などへの支払いまでの期間は、従業員預り金(Employees Advance Receipt)として処理されます。
(6)仮払金(Suspend Payment)・仮受金(Suspend Receipt)
現金(Cash)の支払いや受け取りが既に発生していても、内容(相手方の勘定科目や金額など)が確定していないときは、仮払金(Suspend Payment)または仮受金(Suspend Receipt)で処理をします。
後日、内容が確定したときに、該当する勘定科目や金額に振り替えますので、仮の勘定です。
たとえば、従業員(Employees)に対する出張旅費の仮払いなどがあります。
支払い時には仮払金(Suspend Payment)で処理をし、後日その従業員が旅費精算をしたら、旅費などの勘定に振り替えます。
また、内容の分からない送金があり、後日その送金が売掛金(Accounts Receivable:AR)の一部支払いと判明したとします。
入金時は、預金残高(Balance)を合わせるためにいったん仮受金(Suspend Receipt)で処理をし、後日売掛金(Accounts Receivable:AR)の一部支払いと判明した時点で、売掛金(Accounts Receivable:AR)残高を消し込みます。
2.経過勘定
つぎに、貸借対照表(Balance Sheet:BS)項目の一部の経過勘定について見ていきます。
経過勘定の仕訳(Journal Entry)処理は、決算整理(Adjustments)で行われます。
経過勘定
- 費用の見越し(Expense Accrual):現金の支払いはないが、その期の費用
- 収益の見越し(Revenue Accrual):現金の受け取りはないが、その期の収益
- 費用の繰延べ(Expense Deferral):現金を支払ったが、次期以降の費用
- 収益の繰延べ(Revenue Deferral):現金を受け取ったが、次期以降の収益
発生主義(Accrual Basis)による収益・費用の決算整理
(1)現金主義(Cash Basis)と発生主義(Accrual Basis)
経過勘定について見ていく前に、現金主義(Cash Basis)と発生主義(Accrual Basis)を理解しておきましょう。
収益(Revenue)および費用(Expense)の認識基準として、現金主義(Cash Basis)と発生主義(Accrual Basis)の2つがあります。
収益(Revenue)および費用(Expense)の認識基準
- 現金主義(Cash Basis)
- 発生主義(Accrual Basis)
①現金主義(Cash Basis)
現金主義(Cash Basis)においては、収益(Revenue)および費用(Expense)は、現金(Cash)を受け取ったとき、または、支払ったときに認識します。
現金主義(Cash Basis)では、現金の入出金のタイミングと、収益(Revenue)および費用(Expense)の認識の時点が一致します。
②発生主義(Accrual Basis)
発生主義(Accrual Basis)は、現金(Cash)の入出金のタイミングとは関係なく、収益(Revenue)は稼得(Earned)したとき、費用(Expense)は発生(Incurred)したとき、それぞれ認識します。
会計基準(Accounting Principles)は、一定の場合を除き、収益(Revenue)と費用(Expense)の認識は、発生主義(Accrual Basis)によることを定めています。
発生主義(Accrual Basis)による、収益(Revenue)と費用(Expense)の決算整理(Adjustments)には、見越し(Accrue)と繰延べ(Deferral)があります。
見越し(Accrue)と繰延(Deferral)という決算整理(Adjustments)により、収益(Revenue)と費用(Expense)の期間対応が実現されます。
- 現金主義(Cash Basis):現金(Cash)の受け取り時に収益計上、現金(Cash)の支払い時に費用計上
- 発生主義(Accrual Basis):現金(Cash)の受け払いに関係なく、収益(Revenue)は稼得(Earned)し、費用(Expense)は発生し(Incurred)したときにそれぞれ認識
会計基準(Accounting Principles)では、収益と費用の計上は、発生主義(Accrual Basis)によるとしている。
(2)費用(Expense)・収益(Revenue)の見越し(Accrue)
現金(Cash)の支払いが無いため、まだ費用(Expense)または収益(Revenue)として帳簿上認識されていなくても、その期分の費用(Expense)または収益(Revenue)が発生している場合は、費用(Expense)または収益(Revenue)の見越し(Accrue)をします。
見越し(Accrue)には、未払家賃(Rent Payable)、未払保険料(Insurance Payable)、未収家賃(Rent Receivable)、未収利息(Interest Receivable)などがあります。
未払家賃(Rent Payable)の仕訳
- 2021年10月1日から1年間の契約で、オフィスビルを賃借する。
- 1年間の賃借料は120万円(1か月10万円)である。
- 支払いは2022年9月30日である。
- 決算は2021年12月31日である。
2021年12月31日:決算整理(Adjustments)
支払家賃(Rent Expense)300,000/未払家賃(Rent Payable)300,000
2022年1月1日:期首再振替
未払家賃(Rent Payable)300,000/支払家賃(Rent Expense)300,000
2022年9月30日:賃借料支払い
支払家賃(Rent Expense)1,200,000/現金(Cash)1,200,000
- 2021年は、2021年10月、11月、12月の3か月分の支払家賃(Rent Expense)という費用(Expense)と、未払家賃(Rent Payable)という支払義務である負債(Liabilities)を計上
- 2022年は、2022年9月に12か月分を支払い12か月分の支払家賃(Rent Expense)を計上するが、2021年10月、11月、12月の3か月分の支払家賃(Rent Expense)は期首に再振替されているので、実質的には2022年1月から9月の9か月分の支払家賃(Rent Expense)のみを計上
(3)費用(Expense)・収益(Revenue)の繰延べ(Deferral)
当期に支払った費用(Expense)または受け取った収益(Revenue)の中に、時期以降に属する分(前払い分)がある場合、その分を当期の費用(Expense)または収益(Revenue)から差し引くとともに、費用(Expense)または収益(Revenue)の前払計上を行います。
繰延べ(Deferral)には、前払家賃(Prepaid Rent)、前払保険料(Prepaid Insurance)、前受家賃(Unearned Rent)、前受利息(Unearned Interest)などがあります。
前払保険料(Prepaid Insurance)の仕訳
- 2021年10月1日から1年間の契約で、保険料を支払った。
- 1年間の保険料は120万円(1か月10万円)である。
- 決算は2021年12月31日である。
2022年10月1日:保険料支払い
支払保険料(Insurance Expense)1,200,000/現金(Cash)1,200,000
2021年12月31日:決算整理(Adjustments)
前払保険料(Prepaid Insurance)900,000/支払保険料(Insurance Expense)900,000
2022年1月1日:期首再振替
支払保険料(Insurance Expense)900,000/前払保険料(Prepaid Insurance)900,000
- 2021年は、2021年10月に12か月分支払い12か月分の支払保険料(Insurance Expense)を計上するが、2021年12月に2022年1月から9月までの9か月分の保険料は前払計上し、2021年10月、11月、12月の3か月分の支払保険料(Insurance Expense)のみ認識
- 2022年は、期首に再振替され、2022年1月から9月の9か月分の支払保険料(Insurance Expense)を認識
経過勘定
- 費用の見越し(Expense Accrual):現金の支払いはないが、その期の費用☜未払家賃(Rent Payable)や未払保険料(Insurance Payable)
- 収益の見越し(Revenue Accrual):現金の受け取りはないが、その期の収益☜未収家賃(Rent Receivable)や未収利息(Interest Receivable)
- 費用の繰延べ(Expense Deferral):現金を支払ったが、次期以降の費用☜前払家賃(Prepaid Rent)や前払保険料(Prepaid Insurance)
- 収益の繰延べ(Revenue Deferral):現金を受け取ったが、次期以降の収益☜前受家賃(Unearned Rent)や前受利息(Unearned Interest)
(4)消耗品(Supplies)の取り扱い
文房具などの比較的短期間に使用されるものを消耗品(Supplies)と言います。
通常会社は、消耗品(Supplies)を購入した際、消耗品費(Supplies Expense)という損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)の費用(Expense)勘定で処理します。
さらに、期末に、未使用分は消耗品費(Supplies Expense)勘定から差し引くとともに、消耗品(Supplies)という貸借対照表(Balance Sheet:BS)の資産(Assets)勘定に借方(Debit)記入し、次期に繰り延べます。
この処理により、当期に使用した分のみが当期の費用(Expense)に計上されることになり、正しい期間損益の表示が実現されます。
また、期末に消耗品(Supplies)という資産(Assets)勘定に振り替えることで、会社が時期以降に使う目的で保有する消耗品(Supplies)の残高(Balance)が正しく貸借対照表(Balance Sheet:BS)に表示されることになります。
消耗品(Supplies)の仕訳
期中に消耗品(Supplies)5,000円分を現金(Cash)で購入
消耗品費(Supplies Expense) 5,000/現金(Cash)5,000
期末に未使用の消耗品1,000円分が残っていたため、消耗品(Supplies)に振替
消耗品(Supplies)1,000/消耗品費(Supplies Expense)1,000
翌期首に再振替
消耗品費(Supplies Expense)1,000/消耗品(Supplies)1,000
以上、「【英文会計入門講座】<第5回>現金やその他の債権債務について英語で理解しましょう」でした。
現金、その他の債権債務、経過勘定について英語で理解できましたか?
ぜひ、【英文会計無料問題集】英文会計入門講座<第5回>の練習問題と解答 にチャレンジしていただくか、<第6回>固定資産と減価償却について英語で理解しましょうにお進みください。
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USCPAについては、USCPAどこさんの「USCPAどこのブログ」が詳しいです。
USCPAどこさんは、中央経済社より『USCPAになりたいと思ったら読む本』も出版。
USCPAになるまでのステップはUSCPAの始めかた【5ステップ】を参考にしてください。
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