英文会計を初めて学習する方のための入門講座です。
当記事は、「英文会計入門講座」の2回目です。
<第1回>基本的な会計用語を英語で覚えていきましょうの続きとなります。
取引の発生から財務諸表の作成まで、流れを理解しつつ、英語でどのように言うのか覚えていきましょう。
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- 1.簿記(Bookkeeping)
- 2.取引(Transactions)と簿記(Bookkeeping)
- 3.簿記(Bookkeeping)における取引(Transactions)
- 4.勘定科目(Account)
- 5.勘定科目表(Chart of Accounts)
- 6.仕訳(Journal Entry)
- 7.複式簿記(Double-side Entry Bookkeeping)
- 8.仕訳(Journal Entry)の作成
- 9.仕訳帳(Journal)
- 10. 元帳(Ledger)への転記(Posting)
- 11. 残高試算表(Trial Balance:TB)の作成
- 12.精算表(Work Sheet)の作成
- 13.財務諸表(Financial Statements:FS)の作成
- まとめ:取引(Transactions)の発生から財務諸表(Financial Statements:FS)の作成まで
1.簿記(Bookkeeping)
簿記(Bookkeeping)は、会社の帳簿をつける方法です。
簿記(Bookkeeping)は会計(Accounting)の一部ですが、各国で考え方の異なる会計(Accounting)と違って、その考え方は世界共通です。
簿記(Bookkeeping)の最終目標は、会社の情報を利用する者に対して、財務諸表(Financial Statements :FS)を作成することです。
取引(Transaction)の発生から財務諸表(Financial Statements :FS)の作成までの流れは、以下の通りです。
仕訳(Journal Entry)が財務諸表(Financial Statements :FS)作成のスタート
2.取引(Transactions)と簿記(Bookkeeping)
簡単に言うと、取引(Transactions)から財務諸表(Financial Statements)を作成する方法が簿記(Bookkeeping)です。
会社は毎日たくさんの取引(Transactions)を行っています。
もし、その1つ1つの取引(Transactions)を日記のように文章で記録したらどうでしょうか?
取引(Transactions)を日記のように記録した例
- 2021年1月1日に、A社から商品(Merchandise)を100万円分仕入れた(Purchase)。
- 2021年1月5日に、仕入れた商品(Merchandise)のうち30万円分をB社に売って(Sale)、現金(Cash)60万円を受け取った。
全ての取引(Transactions)を文書で記録してしまうと読むのが大変ですし、客観性にも欠けるでしょう。
そこで、簿記(Bookkeeping)という一定のルールに従って、簡潔に取引(Transactions)を記録することになったのです。
3.簿記(Bookkeeping)における取引(Transactions)
取引(Transactions)というと、広い概念を持ちます。
ですが、簿記(Bookkeeping)における取引(Transactions)とは、会社の資産(Assets)、負債(Liabilities)、資本(Shareholders’ Equity)を増減させる活動のみを指します。
収益(Revenue)や費用(Expense)の発生も含みます。
簿記(Bookkeeping)における取引(Transactions)は、必ず金額(Monetary Value)で表示されます。
簿記(Bookkeeping)における取引(Transactions)は、会社の資産(Assets)、負債(Liabilities)、資本(Shareholders’ Equity)に変動をもたらす事象で、金額で表示する
4.勘定科目(Account)
簿記(Bookkeeping)は帳簿を付ける方法で、帳簿を付ける作業の中で勘定科目(Account)が使われます。
勘定科目(Account)とは、会社の資産(Assets)、負債(Liabilities)、資本(Shareholders’ Equity)などの各要素の記録や、計算の単位となる各勘定(Account)につけられた名称のことです。
毎日たくさん発生する取引(Transactions)は、その内容や性格によっていくつかに分類されます。
その分類が勘定科目(Account)です。
取引(Transactions)を効率的に把握し、分類するために使用されます。
貸借対照表(Balance Sheet:BS)に記載される勘定科目(Account)の例
- 資産(Assets):現金、売掛金、商品、貸付金、建物
- 負債(Liabilities):買掛金、借入金
- 資本(Shareholders’ Equity):資本金
損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)に記載される勘定科目(Account)の例
- 収益(Revenue):売上、受取利息、受取家賃
- 費用(Expense):仕入、給料、支払家賃、通信費
勘定科目(Account)は、取引(Transactions)を効果的に把握し、分類するために使われる
5.勘定科目表(Chart of Accounts)
会社では、通常、勘定科目(Account)に、独自の一定の法則にしたがった番号(Account Code)を付けています。
この勘定科目(Account)を一覧表にしたものを勘定科目表(Chart of Accounts)と言います。
経理システム(Accounting System)に取引(Transaction)のデータを入力(Entry)する際、この番号(Account Code)を使用します。
たとえば、勘定科目(Account)の番号(Account Code)が4桁だとします。
4桁の番号(Account Code)の場合の例
- 1000番台は資産(Assets)
- 2000番台は負債(Liabilities)
- 3000番台は収益(Revenue)
- 4000番台は費用(Expenses)
管理しやすくするためにつけた番号や勘定科目(Account)を一覧にしたものを勘定科目表(Chart of Accounts)という
6.仕訳(Journal Entry)
仕訳(Journal Entry)とは、取引(Transactions)を借方(Debit)または貸方(Credit)に分解して記録することです。
各勘定ごとにその増減を記録するために設けられた帳簿(Book)上の場所を勘定口座と言います。
簿記(Bookkeeping)のルール
- 借方(Debit):勘定口座の左側に記入
- 貸方(Credit):勘定口座の右側に記入
借方(Debit)は左、貸方(Credit)は右に記入
7.複式簿記(Double-side Entry Bookkeeping)
複式簿記(Double-side Entry Bookkeeping)は、取引(Transactions)の持つ二面性に着目し、取引(Transactions)を2つの要素に分けて二面的に記録します。
たとえば、以下の取引が発生したとします。
取引:コンピュータ(Computer)を現金(Cash)1万円で購入(Purchase)
この取引の結果、
- 1万円のコンピュータ(Computer)が増える
- 1万円の現金(Cash)が減る
という2つのことが起こります。
勘定科目(Account)と金額(Monetary Value)を使い、以下のように仕訳(Journal Entry)されます。
- 借方(Debit):コンピューター(Computer)10,000
- 貸方(Credit):現金(Cash)10,000
Dr.)Computer 10,000
Cr.) Cash 10,000
このように二面的に記録するのが複式簿記(Double-side Entry Bookkeeping)です。
8.仕訳(Journal Entry)の作成
仕訳(Journal Entry)は、取引(Transactions)を勘定科目(Account)と金額(Monetary Value)で記録するわけです。
仕訳(Journal Entry)で使われる勘定科目(Account)は、5分類のいずれかに属します。
5分類
- 資産(Assets)
- 負債(Liabilities)
- 資本(Shareholders’ Equity)
- 収益(Revenue)
- 費用(Expense)
勘定が5分類のどれに属するかにより、借方(Debit)と貸方(Credit)のどちらに記録するのかが決まります。
(1)貸借対照表(Balance Sheet:BS)の項目
5分類のうち、資産(Assets)、負債(Liabilities)、資本(Shareholders’ Equity)が貸借対照表(Balance Sheet:BS)の項目です。
①資産(Assets)
資産(Assets)は、貸借対照表(Balance Sheet:BS)上で、借方(Debit)に表示される項目です。
したがって、
- 資産(Assets)が増加:借方(Debit)
- 資産(Assets)が減少:貸方(Credit)
となります。
たとえば、現金(Cash)は資産(Assets)ですが、
- 現金(Cash)を受け取って増えた:借方(Debit)
- 現金(Cash)を支払って減った:貸方(Credit)
といったように記録することになります。
②負債(Liabilities)および資本(Shareholders’ Equity)
負債(Liabilities)・資本(Shareholders’ Equity)は、貸借対照表(Balance Sheet:BS)上で、貸方(Credit)に表示される項目です。
したがって、
- 負債(Liabilities)・資本(Shareholders’ Equity)が増加:貸方(Credit)
- 負債(Liabilities)・資本(Shareholders’ Equity)が減少:借方(Debit)
となります。
たとえば、買掛金(Account Payable)は負債(Liabilities)ですが、
- 仕入れで買掛金(Account Payable)が増えた:貸方(Credit)
- 買掛金(Account Payable)の支払いをして減った:借方(Debit)
といったように記録することになります。
資産(Assets)は借方(Debit)に表示
- 増加→借方(Debit)に記入
- 減少→貸方(Credit)に記入
負債(Liabilities)は貸方(Credit)に表示
- 増加→貸方(Credit)に記入
- 減少→借方(Debit)に記入
(2)損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)の項目
5分類のうち、収益(Revenue)と費用(Expense)が損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)の項目です。
①収益(Revenue)
収益(Revenue)は、損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)上で、貸方(Credit)に表示される項目です。
したがって、
- 収益(Revenue)が増加:貸方(Credit)
- 収益(Revenue)が減少:借方(Debit)
となります。
たとえば、売上(Sales)は収益(Revenue)ですが、
- 商品が売れて売上(Sales)が増えた:貸方(Credit)
- 商品がキャンセルされて売上(Sales)が減った:借方(Debit)
といったように記録することになります。
②費用(Expense)
費用(Expense)は、損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)上で、借方(Debit)に表示される項目です。
したがって、
- 費用(Expense)が増加:借方(Debit)
- 費用(Expense)が減少:貸方(Credit)
となります。
たとえば、給料(Salaries)は費用(Expense)ですが、
- 給料(Salaries)を支払って費用(Expense)が増えた:借方(Debit)
- 給料(Salaries)の支払いを取り消し、費用(Expense)が減った:貸方(Credit)
といったように記録することになります。
収益(Revenue)は貸方(Credit)に表示
- 増加→貸方(Credit)に記入
- 減少→借方(Debit)に記入
費用(Expense)は借方(Debit)に表示
- 増加→借方(Debit)に記入
- 減少→貸方(Credit)に記入
(3)勘定記入の法則
借方(Debit)に記入される場合と、貸方(Credit)に記入される場合は決まっています。
これを勘定記入の法則と言います。
①借方(Debit)に記入されるケース
借方(Debit)に記入されるケースは、以下の5つです。
借方(Debit)に記入されるケース
- 資産(Assets)の増加(Increase)
- 負債(Liabilities)の減少(Decrease)
- 資本(Shareholders’ Equity)の減少(Decreases)
- 収益(Revenue)の減少(Decrease)
- 費用(Expense)の増加(Increase)
②貸方(Credit)に記入されるケース
貸方(Credit)に記入されるケースは、以下の5つです。
貸方(Credit)に記入されるケース
- 資産(Assets)の減少(Decrease)
- 負債(Liabilities)の増加(Increase)
- 資本(Shareholders’ Equity)の増加(Increase)
- 収益(Revenue)の増加(Increase)
- 費用(Expense)の減少(Decrease)
(4)仕訳(Journal Entry)作成のステップ
仕訳(Journal Entry)を作成するステップは以下の通りです。
仕訳(Journal Entry)のステップ
- 会社に何が起こったか2つに分ける
- それぞれの勘定科目(Account)を決める
- 選んだ勘定科目(Account)が5分類のどれに属するか考える
- 勘定記入の法則により、どちらの勘定科目(Account)が借方(Debit)か貸方(Credit)か決める
- 借方(Debit)と貸方(Credit)のそれぞれに金額を記入する
①会社に何が起こったか2つに分ける
起こったことを2つに分けて考えてみましょう。
- 何かを買った:買ったものが増えた+お金が減った
- お金を借りた:お金が増えた+お金を返済する義務ができた
②それぞれの勘定科目(Account)を決める
勘定科目(Account)は【会計英語】勘定科目の英語 辞典 を参考にしてください。
③選んだ勘定科目(Account)が5分類のどれに属するか考える
貸借対照表(Balance Sheet:BS)と損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)を以下の形で覚えておきましょう。
④勘定記入の法則により、どちらの勘定科目(Account)が借方(Debit)か貸方(Credit)か決める
慣れるまでは、分かりやすい勘定科目(Account)から借方(Debit)か貸方(Credit)か決めて、もう一方を残りの借方(Debit)か貸方(Credit)か決めると楽でしょう。
⑤借方(Debit)と貸方(Credit)のそれぞれに金額を記入する
借方(Debit)と貸方(Credit)のそれぞれの金額の合計は一致します。
仕訳(Journal Entry)のステップ
- 会社に起こったことを2つに分ける
- 勘定科目(Account)を決める
- 勘定科目(Account)が5分類のどれか判断する
- 借方(Debit)と貸方(Credit)を決める
- 金額を記入する
9.仕訳帳(Journal)
仕訳帳(Journal)とは、取引(Transactions)を仕訳(Journal Entry)の形で記入する帳簿です。
仕訳帳(Journal)に、発生した順に、取引(Transaction)が記録されていきます。
仕訳帳(Journal)に記入すること
- 日付(Date)
- 勘定科目(Account)
- 摘要(Description):取引(Transaction)の簡単な内容
- 金額(Amount)
実務では、仕訳帳(Journal)ではなく、伝票(Voucher)を用いることがあります。
伝票(Voucher)は、一定の形式で印刷した紙片で、取引(Transaction)を記入していくものです。
さらに、最近の実務では、経理システム(Accounting System)に取引(Transaction)のデータを入力(Entry)しますので、手書きの伝票(Voucher)は見なくなりました。
経理システム(Accounting System)では、仕入(Purchase)、売上(Sales)、その他のモジュールに分けて直接入力します。
仕訳帳(Journal)にしても、伝票(Voucher)にしても、経理システム(Accounting System)にしても、やることの理屈は同じです。
10. 元帳(Ledger)への転記(Posting)
元帳(Ledger)というのは、会社のすべての取引(Transactions)を勘定科目(Account)ごとに分類、集計した帳簿のことです。
仕訳帳(Journal)に記載されたものを元帳(Ledger)に書き写すことを転記(Posting)と言います。
仕訳(Journal Entry)は、取引(Transaction)の発生順に記録されていきます。
ただ1つ1つの仕訳(Journal Entry)を見ていくだけでは、会社がどのような状態にあるのか、どのような動きがあったのかが分かりません。
ですので、取引(Transaction)の発生順の記録を勘定科目(Account)ごとの記録に集計し直し、残高や増減を把握するわけです。
各勘定の状況や動きを見るために、仕訳帳(Journal)から、勘定科目(Account)ごとの元帳(Ledger)を作成する
(1)仕訳帳(Journal)から元帳(Ledger)への転記(Posting)の方法
仕訳帳(Journal)から元帳(Ledger)への転記(Posting)は、元帳(Ledger)上のそれぞれの勘定(Account)口座で行います。
勘定(Account)口座は、アルファベットのTの形なので、T字勘定(Account)と呼ばれます。
T字勘定(Account)の左側を借方(Debit)、右側を貸方(Credit)として、T字の横棒の下に取引(Transaction)の日付と金額を記入していきます。
仕訳帳(Journal)の現金(Cash)の勘定を元帳(Ledger)へ転記(Posting)してみます。
1月の取引(Transactions)と仕訳帳(Journal)
- Jan4 仕入(Purchase)800/現金(Cash)800
- Jan7 現金(Cash)1,000/売上(Sales)1,000
- Jan13 支払利息(Interest Expense)100/現金(Cash)100
- Jan19 現金(Cash)200/家賃収入(Rent Revenue)200
元帳(Ledger)に転記(Posting)すると、以下のようになります。
仮に、1月1日の残高(Balance)は2,000だったとしました。
借方(Debit)の合計は3,200(2,000+1,000+200)で、貸方(Credit)の合計は900(800+100)ですので、1月31日の残高(Balance)は2,300になりました。
現金(Cash)の勘定の転記(Posting)しか今回はしませんが、他の勘定も転記(Posting)のやり方は同じです。
(2)各勘定(Account)の残高(Balance)の計算
元帳(Ledger)では、各勘定(Account)の残高(Balance)を出します。
各勘定(Account)の残高(Balance)
開始残高(Balance) ± 期中の取引(Transactions)=締めの残高(Balance)
ただし、開始残高(Balance)があるのは、貸借対照表(Balance Sheet:BS)の項目だけです。
損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)の項目は、勘定(Account)に開始残高(Balance)はありません。
貸借対照表(Balance Sheet:BS)の項目は、締めの残高(Balance)を次の期に繰り越します。
一方、損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)の項目は、その期の数字はその期のみで、次の期に繰り越さないからです。
11. 残高試算表(Trial Balance:TB)の作成
残高試算表(Trial Balance:TB)は、元帳(Ledger)で集計された各勘定(Account)の残高(Balance)をまとめた表です。
残高試算表(Trial Balance:TB)は、仕訳帳(Journal)から元帳(Ledger)への転記(Posting)が正しく行われたかどうか確かめるために作成されます。
各勘定(Account)の開始残高(Balance)の合計は、借方(Debit)と貸方(Credit)が一致しています。
仕訳(Journal Entry)の借方(Debit)と貸方(Credit)も一致しています。
ですので、各勘定(Account)の締めの残高(Balance)の合計も、借方(Debit)と貸方(Credit)が一致するはずです。
一致しているかを確かめるのが残高試算表(Trial Balance:TB)です。
残高試算表(Trial Balance:TB)は、仕訳帳(Journal)から元帳(Ledger)への転記(Posting)が正しく行われたかをチェックする目的で作成する
(1)残高試算表(Trial Balance)の作成方法
各勘定(Account)の元帳(Ledger)の残高(Balance)から残高試算表(Trial Balance:TB)を作成してみます。
残高試算表(Trial Balance:TB)のそれぞれの勘定(Account)に、借方(Debit)と貸方(Credit)の残高(Balance)を記入していきます。
借方(Debit)と貸方(Credit)の合計が一致していますので、正しく転記(Posting)されたとの心証が得られます。
(2)残高試算表(Trial Balance:TB)の利用
残高試算表(Trial Balance:TB)は、通常は、月末にすべての取引(Transactions)を記録し終えた後に作成されます。
ですが、月中でも、その時点での会社の状態を知るために作成されることがあります。
正式な月末の残高試算表(Trial Balance:TB)ではなくても、会社の経営者はいち早く会社の状態を知ることができ、会社の経理部(Accounting Department)は、正しく経理処理が行われているかチェックできます。
残高試算表(Trial Balance:TB)は、必ずしも万能ではなく、限界があります。
それは、転記(Posting)や集計の正確性は証明できても、内容の正確性は証明できないことです。
残高試算表(Trial Balance)の限界
- 期中の仕訳が全て記帳されていなくても、借方(Debit)と貸方(Credit)が同額であれば残高が一致してしまう
- 仕訳帳(Journal)から元帳(Ledger)に転記(Posting)する際に、ある仕訳が二重にエントリーされても発見できない
- 誤った勘定科目(Account)に転記(Posting)してもその誤りは把握できない。
残高試算表(Trial Balance:TB)に限界があることは知っておきましょう。
残高試算表(Trial Balance:TB)は、転記(Posting)のチェック以外に、情報をアップデートするためにも作成する
12.精算表(Work Sheet)の作成
精算表(Work Sheet)は、残高試算表(Trial Balance)から財務諸表(Financial Statements:FS)を作成するまでの間の段階で作成されます。
精算表(Work Sheet)では、残高試算表(Trial Balance:TB)の数字に決算整理(Adjustments)を入れ、貸借対照表(Balance Sheet:BS)と損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)の数字が計算できるようになっています。
精算表(Work Sheet)では、貸借対照表(Balance Sheet :BS)・損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)作成の元データができる
精算表(Work Sheet)は、以下のような構成になっています。
精算表(Work Sheet)の構成
- 修正前残高試算表(Unadjusted Trial Balance :TB)
- 決算整理(Adjustments)
- 修正後残高試算表(Adjusted Trial Balance :TB)
- 損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)
- 貸借対照表(Balance Sheet: BS)
精算表(Worksheet)作成の手順を見ていきます。
精算表(Worksheet)作成の手順
- 修正前残高試算表(Unadjusted Trial Balance :TB)コラムの記入
- 決算整理(Adjustments)コラムの記入
- 修正後残高試算表(Adjusted Trial Balance :TB)コラムの記入
- 損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)コラムおよび貸借対照表(Balance Sheet: BS)コラムの記入
(1)修正前残高試算表(Unadjusted Trial Balance:TB)コラムの記入
元帳(Ledger)から作成された残高試算表(Trial Balance:TB)は以下の通りとします。
残高試算表(Trial Balance :TB)から、精算表(Work Sheet)上の修正前残高試算表(Unadjusted Trial Balance:TB)のコラムに数字を書き写します。
最終的には、損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)と貸借対照表(Balance Sheet:BS)の元データになります。
そのことを踏まえて、勘定科目(Account)を書く順番は、以下のようにしておくといいでしょう。
勘定科目(Account)を書く順番
- 資産(Assets)
- 負債(Liabilities)
- 資本(Shareholders’ Equity)
- 収益(Revenue)
- 費用(Expenses)
(2)決算整理(Adjustments)コラムの記入
正確な収益費用対応を実現するため、決算整理(Adjustments)が必要です。
たとえば、以下のような決算整理(Adjustments)があります。
決算整理(Adjustments)の例
- 減価償却費(Depreciation)の計上
- 売上原価(Cost of Goods Sold)の計上
- 経過勘定の計上
- 引当金の計上
- 資産の評価替え
- 計上漏れなどの修正
- 税金の計上
今回は、以下のような決算整理仕訳(Adjust Entry)が必要になったとします。
決算整理仕訳(Adjust Entry)
従業員(Employee)に対する給料(Salary)の未払い20があった。
借方(Debit):給料(Salary) 20
貸方(Credit):未払給料(Salary Payable) 20
Dr.) Salary 20
Cr.) Salary Payable 20
決算整理仕訳(Adjust Entry)を精算表(Work Sheet)上の決算整理(Adjustments)コラムに記入します。
勘定科目(Account)が無い場合は、新たに勘定科目(Account)を追加します。
(3)修正後残高試算表(Adjusted Trial Balance:TB)コラムの記入
修正前残高試算表(Unadjusted Trial Balance:TB)の数字に、決算整理(Adjustments)の数字をプラスマイナスして、修正後残高試算表(Adjusted Trial Balance :TB)のコラムに相殺後の数字を記入します。
(4)損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)コラムおよび貸借対照表(Balance Sheet: BS)コラムの記入
修正後残高試算表(Adjusted Trial Balance :TB)の数字を損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)と貸借対照表(Balance Sheet:BS)に分けて記入します。
損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)コラムと貸借対照表(Balance Sheet:BS)コラムの借方(Debit)と貸方(Credit)の合計額を算出してみます。
損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)コラムの借方(Debit)と貸方(Credit)の差額は、貸借対照表(Balance Sheet:BS)コラムの借方(Debit)と貸方(Credit)の差額と一致します。
この差額が純損益(Net Income/Loss)となります。
これで損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)と貸借対照表(Balance Sheet:BS)の元データが手に入りました。
13.財務諸表(Financial Statements:FS)の作成
精算表(Work Sheet)から財務諸表(Financial Statements)を作成します。
精算表(Work Sheet)の損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)のコラムの数字と貸借対照表(Balance Sheet:BS)のコラムの数字を使います。
(1)損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)の作成
精算表(Work Sheet)の損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)のコラムの勘定科目(Account)と金額を使って、損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)のフォームで作成します。
損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)を作成する手順は以下の通りです。
損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)の作成
- タイトル「損益計算書(Profit and Loss Statement :PL)」、会社名、期間を記入
- 損益の大まかな発生の区分が分かるように区分を設定
そして、損益の区分は以下の通りです。
損益の区分
- 売上高(Sales)
- 売上原価(Cost of Goods Sold :CGS)
- 売上総利益(Gross Margin)
- 販売費および一般管理費(Selling, General, and Administrative Expenses :SGA)
- 営業外収益・費用(Other Income/Expense)
- 特別損益(Extraordinary Items)
- 法人税(Income Taxes)
- 当期純利益(Net Income)
(2)貸借対照表(Balance Sheet:BS)の作成
精算表(Work Sheet)の貸借対照表(Balance Sheet:BS)のコラムの勘定科目(Account)と金額を使って、貸借対照表(Balance Sheet:BS)のフォームで作成します。
貸借対照表(Balance Sheet:BS)を作成する手順は以下の通りです。
貸借対照表(Balance Sheet:BS)の作成
- タイトル「貸借対照表(Balance Sheet :BS)」、会社名、決算日を記入
- 勘定の性質によって区分を設定
そして、勘定の性質による区分は以下の通りです。
勘定の性質による区分
- 資産(Assets)、負債(Liabilities)、資本(Shareholders’ Equity)の部に分ける
- 資産(Assets)は流動資産(Current Assets)または固定資産(Fixed Assets)に分ける
- 負債(Liabilities)は流動負債(Short-term Liabilities)または固定負債(Non-current Liabilities)に分ける
- 原則として流動性の高いもの(換金性が高いもの、支払期日が近いもの)から記載する
まとめ:取引(Transactions)の発生から財務諸表(Financial Statements:FS)の作成まで
取引(Transactions)の発生から財務諸表(Financial Statements:FS)の作成まで見てきました。
借方(Debit)や貸方(Credit)といった概念や、仕訳(Journal Entry)の考え方は、会計(Accounting)の基礎ですので、しっかり理解しましょう。
また、取引の発生から財務諸表(Financial Statements :FS)の作成まで、練習問題などを通して流れがイメージできるようにしましょう。
以上、「【英文会計入門講座】<第2回>取引の発生から財務諸表の作成までの流れを英語で覚えましょう」でした。
財務諸表(Financial Statements)作成までのイメージができましたか?
ぜひ、 【英文会計無料問題集】英文会計入門講座<第2回>の練習問題と解答 で理解を確かめていただくか、<第3回>仕入(買掛金)・ 売上(売掛金)に関する英語を覚えましょうにお進みください。
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