英文会計実務講座

【英文会計実務講座】<第3回>売掛金の管理を覚えましょう

売掛金(AR)の管理
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英文会計の仕事がしたい方のための無料講座です。

当記事は、「英文会計実務講座」の3回目で、【英文会計実務講座】<第2回>買掛金および業者への支払いを覚えましょうの続きとなります。

英文会計の基礎については、「英文会計入門講座」でご説明しています。

まだ「英文会計入門講座」で学習していただいていない場合は、【英文会計入門講座】<第1回>基本的な会計用語を英語で覚えていきましょうから始めてください。

 

USCPA英文会計学院の「英文会計無料講座」が役に立つ人

  1. 「英文会計入門講座」で学習していただいた人
  2. USCPA(米国公認会計士)の前段階で英文会計の学習を始めたばかりの人
  3. ACCA(英国勅許公認会計士)の学習をしている人・しようと考えている人
  4. 仕事などで、英語で会計を理解する必要がある人
  5. 英語が得意で、会計の知識を身につけてキャリアアップしたい人
  6. 英文会計の実務が知りたい人
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1.売掛金(Accounts Receivable:AR)の管理

売掛金(Accounts Receivable :AR)については、【英文会計入門講座】<第3回>仕入(買掛金)・ 売上(売掛金)に関する英語を覚えましょうでご説明をしました。

売上活動は、会社のメインの業務であるため、他の取引(Transaction)に比べ、対象となる金額は多額になります。

 

会社は、永続的に活動することを前提としています。

売上(Sales)を計上しただけで終わりというわけではなく、売上代金を回収(Collection)し、また商品(Merchandise)を仕入れ(Purchase)、売る(Sale)という売上(Sales)の循環を実現しなくてはなりません。

よって、売掛金(Accounts Receivable:AR)は、必ず早期に回収しなければならず、会社にとって管理する必要のある重要なものの1つとなっています。

 

会社の業績や価値を評価する格付機関(Credit Rating Agency)や、証券アナリストも、キャッシュフローを重要視します。

売掛金(Accounts Receivable:AR)の回収ターム(計上されてから回収されるまでの期間)が着目されますが、この回収タームは、もちろん、短い方が良いです。

 

売掛金(Accounts Receivable:AR)回収担当は、経理部(Accounting Department)の中でも求人が多いポジションの1つです。

 

売掛金の回収(Collection):売掛金の支払いを受けること

売掛金の回収ターム:売上が計上されてから、売掛金が回収されるまでの期間

 

2.回収(Collection)の経理処理

信用取引(On account)の場合、会社は、得意先(Customer)から購入の意思表示を受け、商品(Merchandise)を得意先(Customer)に受け渡し、売買が成立します。

ですが、まだ売上代金の現金(Cash)を受け取っていません。

 

そこで、会社は、売上が成立したことと、あとで現金を受け取る権利があることを売掛金(Accounts Receivable:AR)勘定を使って仕訳します。

計上された売掛金(Accounts Receivable:AR)は、支払期日までに、取り決められた方法で支払われます。

 

支払いを受ける側の会社では、支払いを受けることを回収する(Collect)と言います。

売掛金(Accounts Receivable:AR)は、回収されると、消滅したものとして消し込まれる(Off-set the invoice)ことになります。

 

この際の仕訳は、以下のようになります。

売掛金(Accounts Receivable:AR)の消し込み(Off-set the invoice)

売掛金(Accounts Receivable:AR)のうち、30,000円が得意先(Customer)から会社の銀行口座へ振り込まれた

 

現金 30,000 / 売掛金 30,000

Dr) Cash 30,000

Cr) Accounts Receivable 30,000

 

売掛金(Accounts Receivable:AR)のデータは、計上の際、得意先(Customer)名とコード、請求書(Invoice)の発行日(Issue Date)、請求書(Invoice)の番号などが付けられます。

これらに基づいて、システム上で管理されます。

 

回収(Collect)された場合には、売掛金(Accounts Receivable:AR)の残高(Balance)の中から、その得意先(Customer)の該当するデータを見つけ、相手方を現金(Cash)として、売掛金モジュールから消し込む作業をします。

この処理により、その得意先(Customer)に対する売掛金(Accounts Receivable:AR)が減少し、現金(Cash)が増加することになります。

 

得意先(Customer)からの支払いは、銀行振込(Direct Debit)に限らず、小切手(Cheque)や受取手形(Note Receivable)ということもあります。

 

売掛金の消し込み(Off-set the invoice):支払いを受けた売掛金の該当データを消し込み、その得意先に対する売掛金を減少させる処理をすること

 

3.売掛金消し込み(Off-set the invoice)の際の留意点

売掛金(Accounts Receivable:AR)を消し込む際には、以下の3点に気をつけましょう。

売掛金(AR)の消し込みで留意する点

  1. 得意先(Customer)ごとの消し込みの残高
  2. 別会社名義での支払い
  3. 銀行手数料(Bank Charge)が引かれている場合

 

(1)得意先(Customer)ごとの消し込みの残高

得意先(Customer)ごとに消し込む残高には注意しましょう。

同じ金額の請求書が、同一の得意先(Customer)に対して、数回にわたって発行される場合、どの分が支払われ、どれが残っているのか把握する必要があります。

また、複数の請求書をまとめて支払ってきたり、分割で支払われる場合もあるため、注意が必要です。

 

(2)別会社名義での支払い

直接の得意先(Customer)ではない、別会社の名義などで支払われる場合がありますので、注意しましょう。

得意先(Customer)が金融子会社などを持っていて、関連会社の支払いは、全てその子会社が行う場合や、会社と得意先(Customer)の間に仲介業者が入り、その仲介に入る第三者が得意先(Customer)の立て替え払いをするような場合もあります。

 

(3)銀行手数料(Bank Charge)が引かれている場合

手数料が引かれて支払われる場合があるので注意しましょう。

得意先(Customer)が、銀行手数料(Bank Charge)を受取人負担で払い込んでくる場合、実際に発行した請求金額より少ない金額が振り込まれることがあります。

このような場合は、売掛金(Accounts Receivable:AR)は全額消し込み、手数料(Bank Charge)を費用計上します。

銀行手数料(Bank Charge)が引かれている場合

A社に対する売掛金(Accounts Receivable:AR)が30,000円ある。

本日、A社より、この売掛金(Accounts Receivable:AR)の支払いをしたとの通知があり、29,500円が会社の銀行口座に振り込まれた。

この場合、売掛金(Accounts Receivable:AR)30,000円をシステム上で消し込み、差額の500円は、銀行手数料(Bank Charge)として仕訳する。

 

現金 30,000/売掛金 30,000

銀行手数料 500/現金 500

Dr) Cash 30,000

Cr)  Accounts Receivable 30,000

Dr)  Bank Charges 500

Cr)  Cash 500

 

4.売掛金のリスクと管理の必要性

信用取引(On account)では、売上げて商品(Merchandise)を引き渡しても、すぐに現金(Cash)を受け取るわけではないので、売掛金(Accounts Receivable:AR)の回収(Collection)に関するリスク、つまり、回収不能になる恐れがあります。

売掛金(Accounts Receivable:AR)が回収(Collect)できなければ、商品(Merchandise)を渡してしまっただけで、結局は売上が無かったことになります。

このようなリスクを避けるためにも、未回収の売掛金(Accounts Receivable:AR)および信用取引(On account)における得意先(Customer)の状況を管理する必要があります。

 

会社のリスクマネジメントのプロセスにもよりますが、一般的には、得意先(Customer)より財務諸表(Financial Statements:FS)を提出してもらい、財務状況を定期的にチェックする方法が採られます。

チェックする項目は、主に以下の3点です。

財務状況のチェック項目

  1. 経営成績、売上の状況と推移
  2. 流動性
  3. 財務分析

 

(1)経営成績、売上の状況と推移

経営成績や収益が上がっているかチェックします。

1期のみの財務諸表(Financial Statements:FS)だけではなく、連続した2期分くらいは入手して、比較することが有効です。

 

(2)流動性

資産(Assets)の中で、流動性の高いものの割合をチェックします。

流動性の高い資産(Assets)とは、現金(Cash)などの流動資産(Current Assets)に分類されるものです。

資産(Assets)の合計が多くても、ほとんどが固定資産(Fixed Assets)で構成され、流動資産(Current Assets)がほとんどない場合、得意先(Customer)は資金が乏しいと考えられます。

そうなると、会社としては、売掛金(Accounts Receivable:AR)を支払ってもらえない可能性があるかもしれません。

 

(3)財務分析

売掛金レシオ、回収タームをみるなど、財務分析も有効です。

財務分析の詳細については、のちの回でご説明します。

 

5.売掛金担当者として留意する点

いくら財務諸表(Financial Statements:FS)の分析をしても、書類の表面から得られる情報は既に過去のものであり、会社としては、売掛金(Accounts Receivable:AR)を期日通りに支払ってもらうに越したことはありません。

よって、売掛金(Accounts Receivable:AR)の支払いが滞っている得意先(Customer)に対しては、早めに対処する必要があります。

 

その理由として、以下の2点が挙げられます。

売掛金の支払いが滞っている得意先(Customer)に対し、早めに対処する必要がある理由

  1. 単なる社内手続き遅延の場合があるため
  2. 状況を早くキャッチできるため

 

(1)単なる社内手続き遅延の場合があるため

得意先(Customer)に売掛金(Accounts Receivable:AR)支払遅延の督促をすると、担当者の怠慢で社内手続きが進んでいない、もしくは、請求書を紛失したという場合がよくあります。

その場合、早く連絡することにより、タイムリーに回収に向けた対処ができます。

未回収のまま放置しておくと、督促したときには、既に担当者や責任者が退職したり、異動したりしてしまっており、結局支払われずじまいということも起こりかねません。

 

(2)状況を早くキャッチできるため

財政状態が悪いという理由で支払いが遅延する場合も、得意先(Customer)の担当者からその状況を早めにキャッチできれば、分割払いでの支払いを約束させるなどの対処も考えられます。

また、上司に相談の上、社内の営業担当者に状況を連絡し、それ以降は入金確認後の商品引き渡しにするとか、それ以上商品をその会社に対して渡さないなど、対策を取る必要があるかもしれません。

最悪の場合、取引先(Customer)の倒産(Bankruptcy)の際にも、いち早く情報を得て、素早く法的手段を取れば、支払いを受ける順番の上位にリストされるなど、法的な地位を得ることも可能です。

得意先の状況を常にアップデートすることが重要でしょう。

 

売掛金(Accounts Receivable:AR)回収(Collection)のリスク管理として、以下のような方法もあります。

売掛金回収のリスク管理方法

  1. 外部の専門信用調査機関を利用する
  2. 商品引き渡しの前に、支払いをしてもらう
  3. 個人の顧客の場合は、クレジット会社を利用する

 

6.貸倒引当金(Allowance for Uncollectible Accounts)の設定

会計処理上、発生する可能性のある売掛金(Accounts Receivable:AR)の貸し倒れのリスクと、その期間の収益(Revenue)を対応させるため、決算修正仕訳(Year-end Adjustment Entry)の1つとして貸倒引当金(Allowance for Uncollectible Accounts)の設定をします。

この貸倒引当金(Allowance for Uncollectible Accounts)については、のちの回でご説明します。

 

 

以上、「【英文会計実務講座】<第3回>売掛金の管理を覚えましょう」でした。

売掛金の管理について理解していただけたでしょうか?

【英文会計実務講座】<第4回>経費精算のしかたと消費税の取り扱いを覚えましょうにお進みください。

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USCPAになるまでのステップUSCPAの始めかた【5ステップ】を参考にしてください。

USCPA予備校USCPA予備校4校を徹底比較!失敗しない学校選び が参考になります。

 

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