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当記事は、「英文会計上級講座」の6回目で、【英文会計上級講座】<第5回>BSとPLについて理解を深めましょうの続きとなります。
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はじめに
会社の財務諸表(Financial Statements:FS)は、さまざまな利害関係者(Interested Parties)のグループによって、会社に関する意思決定の材料として利用されます。
財務諸表(Financial Statements:FS)は、以下のような限界があります。
財務諸表(Financial Statements:FS)の限界
- 過去のデータであるため、即時性に欠けること
- 資産の評価は、取得原価(Acquisition Cost)をベースとすること
- 金額で表示できないものは含まれないこと
ですが、その会社の財務状況(Financial Position)や経営効率を見るのに最も適した材料だと考えられます。
財務諸表(Financial Statements:FS)での財務分析(Financial Analysis)においては、以下のような比較が利用されます。
財務分析(Financial Analysis)で利用される比較
- 各勘定間の関係
- 同じ会社の違う年度間
- 同じ業種の違う会社間
- 違う業種の同規模の会社間
さらに、絶対値による検討をする際に、財務比率(Financial Ratio)が利用されます。
今回は、財務分析(Financial Analysis)からわかること、財務比率(Financial Ratio)の基礎を学習していただきます。
1.財務分析(Financial Analysis)の目的
財務分析(Financial Analysis)のプロセスでは、財務比率(Financial Ratio)が利用されます。
財務比率(Financial Ratio)は、直近の財務諸表(Financial Statements:FS)の中での各項目の関連や、数期間の財務諸表(Financial Statements:FS)を比較してトレンドを知るために有効です。
財務分析(Financial Analysis)から分かることとして、以下のものがあります。
財務分析(Financial Analysis)から分かること
- 調達した資金を効率よく使っているか:Effective Use of Funds
- 財務体質はどうなっているか:Financial Structure
- 支払い能力があり、倒産する危険がないか:Liquidity
- 効率よく経営されているか:Efficiency of Operation
- 投資回収率はどうか:Return on Investment
数年にわたって比較することで、会社の成長性を測り、さらに将来の予測につなげることができます。
2.財務諸表(Financial Statements)利用者の焦点
財務諸表(Financial Statements:FS)を利用する会社の利害関係者(Interest Parties)には、以下のような人たちが含まれます。
利害関係者(Interest Parties)
- 株主(Shareholder)
- 投資家(Investor)
- アナリスト(Analyst)
- 債権者(Creditor)
- 銀行(Bank)
- 経営陣(Management)
- 従業員(Employee)
- 税務当局(Tax Office)
- 地域社会(Community)
このうち、株主(Shareholder)や投資家は、会社の価値が上昇することを期待するため、収益性や将来の成長性を重視します。
一方、債権者(Creditor)や銀行(Bank)は、会社の利益の伸びから直接恩恵を受けることはなく、会社に対する貸し付けから一定の利息を受け、さらに元本が返済されていることを期待しているため、流動性や支払い能力を重視します。
さらに、会社の財務見通しを悪化させ、デフォルト(支払い能力)の確率を高める可能性のある事態が発生するリスクに注目します。
このように、その目的により、利害関係者(Interested Parties)の財務分析(Financial Analysis)の焦点は異なります。
3.財務分析(Financial Analysis)はなぜ必要か?
ここでは、例を挙げて考えていきましょう。
たとえば、同業他社のA社とB社があるとします。
どちらも同じくらいの規模・売上高・経常利益です。
ただし、自己資本率については、A社は40%であるのに対し、B社は5%です。
自己資本率(自己資本が総資産に占める割合)
=資本(Shareholders’ Equity)合計÷資産(Assets)合計
すなわち、B社はA社に比べ、資金調達を借入れに依存しているため、支払利息の負担が大きく、同じ売上だけで他のコストを削減し、同じ経常利益を保っていることが分かります。
さて、現状より金利が上昇した場合を考えてみましょう。
B社はA社に比べ、金利の影響を大きく受けるため、A社と同じレベルの経常利益を確保するためには、異なる経営努力か、財務体質の改善が必要ということになります。
財務分析(Financial Analysis)を行うことにより、会社の現状を知り、絶対値としての判断をするために利用されるのみではなく、経営者の将来の経営指標にも活用されることが分かります。
4.財務比率(Financial Ratio)
基本的な財務比率(Financial Ratio)には次のようなものがあります。
財務比率(Financial Ratio)
- 調達した資金を効率よく使っているか:Effective Use of Funds
- 財務体質はどうなっているか:Financial Structure
- 支払い能力があり、倒産する危険がないか:Liquidity
- 効率よく経営されているか:Efficiency of Operation
- 投資回収率はどうか:Return on Investment
(1)調達した資金を効率よく使っているか
調達した資金を効率よく使っているか(Effective Use of Funds)については、以下の2つの財務比率(Financial Ratio)があります。
「調達した資金を効率よく使っているか」の財務比率(Financial Ratio)
- 調達資金に対するリターン率(Return on Total Assets)
(Net Profit before Tax +Interest Expense)/Average Total Assets
- 自己資本利益率(Return on Shareholders’ Equity)
Net Profit after Tax /Total Shareholders’ Equity
すべての利害関係者(Interested Parties)がまず注目するのは、利益の金額でしょう。
会社に対する短期の債権者にとっても、利益は直接の支払い能力に関係ないといっても、収益体質でない会社は、信用があるとは言えません。
十分な収益を獲得することができなければ、支払い不能になる可能性もあるからです。
(2)財務体質はどうなっているか
財務体質はどうなっているか(Financial Structure)については、以下の3つの財務比率(Financial Ratio)があります。
「財務体質はどうなっているか」の財務比率(Financial Ratio)
- 自己資本率(Equity Ratio)
Total Shareholders’ Equity /Total Assets
- 借入れ依存率(Debt Ratio)
Total Liabilities /Total Assets
- 当期利益で利息がまかなえるか(Times Interest Earned)
(Net Profit before Tax +Interest Expense)/Annual Interest Expense
自己資本は返さなくても良い資金であり、借入資本はいつか返さなくてはならない資金です。
自己資本比率(Equity Ratio)とは、総資産に占める自己資本の割合を示しています。
この反対が、借入れ依存率(Debt Ratio)で、総資産に占める借入資本の割合を示しています。
自己資本率(Equity Ratio)は、少なくとも30%くらいは必要だと言われます。
自己資本率(Equity Ratio)が30%ということは、返済しなければならない借入れが70%ということですので、約2倍です。
自己資本率(Equity Ratio)が30%以下になると、金利が上昇したときの負担が過剰になる可能性があります。
とはいえ、自己資本率(Equity Ratio)が高ければ良いかというと、必ずしもそうではありません。
借金をしてでも、営業規模を拡大してマーケットを確保しないと、他社との競争に負けてしまう場合があるからです。
借入資本は、支払利息という金利に左右されるコストが発生し、金利は会社がコントロールできるものではないことを考慮して、自己資本とのバランスを考える必要があるでしょう。
借入れの際は、固定金利や変動金利、デリバティブなど、なるべく安いコストで資金調達することが大切です。
(3)支払い能力があり、倒産する危険がないか
支払い能力があり、倒産する危険がないか(Liquidity)については、以下の2つの財務比率(Financial Ratio)があります。
「支払い能力があり、倒産する危険がないか」の財務比率(Financial Ratio)
- 流動比率(Current Ratio)
Current Assets /Current Liabilities
- 当座比率(Liquidity Ratio または Acid Test Ratio)
(Current Assets ーInventory and Prepayments)/Current Liabilities
当面の支払い能力が保証されないと、会社は支払い不能となり、倒産してしまいます。
利害関係者(Interested Parties)が最も心配するのは、支払い能力と会社の存続であるため、財務諸表(Financial Statements:FS)作成の際の流動・固定の区分は重要です。
(4)効率よく経営されているか
効率よく経営されているか(Efficiency of Operation)については、以下の3つの財務比率(Financial Ratio)があります。
「効率よく経営されているか」の財務比率(Financial Ratio)
- 在庫回転率(Inventory Turnover)
Cost of Goods Sold /Average Inventory
- 売掛金管理が適正か(Turnover of Debtors)
Net Sales on Credit /Average Debtors’ Balance
- 売上総利益率(Gross Profit Rate)
Gross Margin /Net Sales
収益(Revenue)や費用(Expense)に基づく分析から、会社の経営の効率性を読み取ることができます。
在庫回転率(Inventory Turnover)や売掛金(Accounts Receivable:AR)管理の適性性の分析には、詳細なデータが必要です。
よって、実際には、外部の利害関係者(Interested Parties)は、会社の公表する財務諸表(Financial Statements:FS)のみからこれらを把握するのは難しいでしょう。
しかし、会社の経営陣は、詳細なデータにアクセス可能であり、在庫回転率(Inventory Turnover)の低さは過剰在庫や不良品の存在を示すなど、経営改善のヒントになります。
売上総利益率(Gross Profit Rate)は、その会社の過去数期、または、他社との比較に有効です。
売上総利益率(Gross Profit Rate)は、会社の全活動に必要な源泉となります。
社員の給与、オフィスの家賃、設備投資など、すべて売上総利益でまかなわなければなりません。
その売上総利益率(Gross Profit Rate)をどれほどの売上高(Sales)で稼ぎ出したかという、ビジネスの効率を表すのが売上総利益であるため、売上総利益率(Gross Profit Rate)には留意する必要があります。
売上総利益率(Gross Profit Rate)に低下がみられる場合は、売上単価の低下、得意先構成の変更、安価な商品の販売比率が高くなっていないか、売上総利益率の高い商品の売上が下がっていないか、仕入単価が上昇していないかなどを検討しましょう。
(5)投資回収率はどうか
投資回収率はどうか(Return on Investment)については、以下の1つの財務比率(Financial Ratio)があります。
「投資回収率はどうか」の財務比率(Financial Ratio)
- 普通株1株当たりの稼得利益(Earnings per Ordinary Share)
(Net Profit after Tax -Preference Dividend)/Number of Issued Ordinary Shares
1株当たりの利益は、その期の利益が株主(Shareholder)1株当たりいくら帰属するのかを示します。
投資家(Investor)にとっての投資に対する見返りであるため、その会社に投資するか否かの意思決定の重要な判断材料の1つとなっています。
以上、「【英文会計上級講座】<第6回>財務諸表を使った経営分析ができるようになりましょう」でした。
財務諸表を使った経営分析について理解していただけたでしょうか?
以上で、英文会計上級講座を含め、英文会計無料講座は終わりです。
最後まで学習していただき、ありがとうございました。
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