英文会計上級講座

【英文会計上級講座】<第2回>固定資産の売却・除却について学習しましょう

固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)・除却(Disposal)
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英文会計の知識を完璧にすることを目指す方のための無料講座です。

当記事は、「英文会計上級講座」の2回目で、【英文会計上級講座】<第1回>無形固定資産について学習しましょうの続きとなります。

英文会計の基礎については、「英文会計入門講座」でご説明しています。

まだ「英文会計入門講座」で学習していただいていない場合は、【英文会計入門講座】<第1回>基本的な会計用語を英語で覚えていきましょうから始めてください。

英文会計の実務については、「英文会計実務講座」でご説明しています。

まだ「英文会計実務講座」で学習していただいていない場合は、【英文会計実務講座】<第1回>会社の経理部について理解しましょうから始めてください。

英文会計の決算処理については、「英文会計中級講座」でご説明しています。

まだ「英文会計中級講座」で学習していただいていない場合は、【英文会計中級講座】<第1回>会計の基本概念を覚えましょうから始めてください。

 

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はじめに

会計上、資産(Assets)とは、価値がある物と定義されます。

会社は、ビジネスとして売って儲けるため、または、ビジネス運営に使用するため、資産(Assets)を所有します。

売ろうと思って保有する資産は、棚卸資産(Inventory)であり、使用するために保有する資産は、固定資産(Fixed Assets)と区分し、それぞれの費用化の方法が違うことは、既に学習していただきました。

 

固定資産(Fixed Assets)は、使用目的で保有するため、売却を前提とはしていませんが、さまざまな理由により、耐用年数(Useful Life)の中途または経過後に、売却(Sale)または廃棄処分(Disposal)することがあります。

今回は、固定資産(Fixed Assets)の売却(Sale)・除却(Disposal)についてご説明していきます。

 

1.固定資産(Fixed Assets)について

固定資産(Fixed Assets)について、復習しておきましょう。

(1)固定資産(Fixed Assets)とは

固定資産(Fixed Assets)とは、販売(Sales)目的ではなく、使用(Use)目的で長期間保有する資産(Assets)です。

一方、棚卸資産(Inventory)は、販売(Sale)目的で保有する資産(Assets)で、流動資産(Current Assets)に分類されます。

 

固定資産(Fixed Assets)は、有形固定資産(Tangible Assets)と、無形固定資産(Intangible Assets)の2つに分けられます。

無形固定資産(Intangible Assets)については、【英文会計上級講座】<第1回>無形固定資産について学習しましょうで学習していただきました。

固定資産(Fixed Assets)

  1. 有形固定資産(Tangible Assets):形があって目に見える資産☞車両(Automobile)、土地(Land)、建物(Building)、機械(Machinery)など
  2. 無形固定資産(Intangible Assets):形が無く目に見えないが、価値がある資産☞特許権(Patent)、商標権(Trademark)など

 

(2)固定資産(Fixed Assets)の取得

固定資産(Fixed Assets)を取得したときは、購入価格とその資産(Assets)が使用に供されるまでに要した、すべての支出をそれぞれの勘定で仕訳します。

資産(Assets)の増加であるため、借方記入します。

固定資産(Fixed Assets)の取得の仕訳例

  • 機械(Machine)を現金500,000円で購入した

Dr)機械(Machine) 500,000

Cr)現金(Cash) 500,000

 

  • 特許権(Patent)を現金300,000円で購入した

Dr)特許権(Patent) 300,000

Cr)現金(Cash) 300,000

 

(3)減価償却(Depreciation)

有形固定資産(Tangible Assets)は、長期にわたって使用しているうちに、時の経過や使用などのいろいろな原因により、次第に価値が減少してきます。

そして、営業活動の使用に耐えられなくなれば、処分されます。

 

有形固定資産(Tangible Assets)は、営業活動に使用されるため、直接的・間接的に会社の収益に貢献しているはずです。

したがって、購入した有形固定資産(Tangible Assets)を一度に費用化するのではなく、その期における価値の減少に着目し、収益獲得に貢献した分のみを収益に対応させ、その資産の使用可能期間にわたって費用化させていきます。

この方法を減価償却(Depreciation)と言います。

 

有形固定資産(Tangible Assets)のうち、土地(Land)は使用による減価がないため、減価償却(Depreciation)させず、建物(Building)や備品(Equipment)などは、減価償却(Depreciation)のプロセスを経て費用化されます。

減価償却(Depreciation)の仕訳

Dr)減価償却(Depreciation Expense)

Cr)減価償却累計額(Accumulated Depreciation)

 

また、減価償却(Depreciation)の方法で代表的なものとして、定額法(Straight-line Method)と定率法(Declining Balance Method)があります。

減価償却(Depreciation)の方法

  1. 定額法(Straight-line Method):減価償却資産(Depreciation Assets)を耐用年数(Useful Life)にわたって、毎期同額を費用化する方法
  2. 定率法(Declining Balance Method):減価償却資産(Depreciation Assets)を耐用年数(Useful Life)にわたって、毎期一定額ではなく加速度的に(使用開始当初は多額で、その後はだんだん減らしていく)費用化する方法

 

(4)簿価(Net Book Value:NBV)

取得原価(Acquisition Cost)から、原価の減少分である減価償却累計額(Accumulated Depreciation)を控除した金額は、簿価上の価値=簿価(Net Book Value:NBV)と言い、以下で計算されます。

簿価(Net Book Value:NBV)

=資産(Assets)の取得原価(Acquisition Cost)

ー減価償却累計額(Accumulated Depreciation)

 

2.固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)

固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)について見ていきましょう。

 

(1)固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)での損益認識

固定資産(Fixed Assets)を売却するときは、売却日に、その資産(Assets)の簿価(Net Book Value:NBV)を償却し、売却による利益または損失があれば認識します。

簿価(Net Book Value:NBV)より売価が大きければ利益となり、小さければ損失となります。

固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)

  1. 簿価(Net Book Value:NBV)< 売価 :固定資産売却Gain on Sale of Fixed Assets)
  2. 簿価(Net Book Value:NBV)> 売価 :固定資産売却Loss on Sale of Fixed Assets)

固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)の仕訳の際、その資産の取得価額及び減価償却累計額(Accumulated Depreciation)を取り崩します。

 

(2)固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)の例

固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)の例を見ていきましょう。

固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)の例

  • 会社は、2021年1月に、機械(Machine)を1,000,000円で購入した

Dr)機械(Machine) 1,000,000

Cr)現金(Cash) 1,000,000

 

  • 2021年12月決算(Closing)で、減価償却(Depreciation)を行った。残存価額(Salvage Value)はゼロ、耐用年数(Useful Life)は10年、定額法(Straight-line Method)による。

Dr)減価償却費(Depreciation Expense) 100,000

Cr)減価償却累計額(Accumulated Depreciation) 100,000

1,000,000円÷10年=100,000円

 

  • 2023年6月にこの機械を売却した

まずは、売却までに6ヶ月が経過しているため、6ヶ月分の減価償却を行います。

Dr)減価償却費(Depreciation Expense) 50,000

Cr)減価償却累計額(Accumulated Depreciation)50,000

1,000,000円÷10年×6ヶ月/12ヶ月=50,000円

この結果、減価償却累計額(Accumulated Depreciation)は250,000円(100,000円+100,000円+50,000円)で、簿価(Net Book Value:NBV)は750,000円(1,000,000円-250,000円)となります。

 

売価によって、売却の仕訳は変わってきます(【売却パターン1】【売却パターン2】【売却パターン3】)。

 

  • 【売却パターン1】2023年6月にこの機械(Machine)を 750,000円で売却した

Dr)現金(Cash)750,000

減価償却累計額(Accumulated Depreciation)250,000

Cr)機械(Machine) 1,000,000

簿価(Net Book Value:NBV)は750,000円であり、売価も750,000円のため、利益も損失も発生しません。

 

  • 【売却パターン2】2022年6月にこの機械(Machine)を 800,000円で売却した

Dr)現金(Cash)800,000

減価償却累計額(Accumulated Depreciation)250,000

Cr)機械(Machine) 1,000,000

固定資産売却益(Gain on Sales of Fixed Assets) 50,000

簿価(Net Book Value:NBV)は750,000円であり、売価は800,000円のため、利益が50,000円発生します。

 

  • 【パターン3】2022年6月にこの機械(Machine)を 600,000円で売却した

Dr)現金(Cash)600,000

減価償却累計額(Accumulated Depreciation)250,000

固定資産売却損(Loss on Sales of Fixed Assets) 150,000

Cr)機械(Machine) 1,000,000

簿価(Net Book Value:NBV)は750,000円であり、売価は600,000円のため、損失が150,000円発生します。

 

(3)固定資産(Fixed Assets)の下取り(Trade-in)の場合

新たな資産(Assets)を購入する場合、現在使用している固定資産(Fixed Assets)を下取り(Trade-in)に出す場合があるでしょう。

この際、新資産の購入と同時に、旧資産を売却することになり、売却された資産は下取り(Trade-in)価格となって、新資産取得の際の頭金に充当されます。

 

下取り(Trade-in)の場合も、単純な売却と同じく、旧資産の簿価(Net Book Value:NBV)と下取り価格=売価を比較します。

そして、旧資産の取得価額および減価償却累計額(Accumulated Depreciation)を取り崩して、さらに、固定資産売却損益(Gain/Loss on Sales of Fixed Assets)を計上します。

下取り(Trade-in)も、下取り価額を売価と考え、単純な売却と同じ処理とする。

 

3.固定資産(Fixed Assets)の除却(Disposal)

買い手が見つからず、単に資産を除却(Disposal)する場合もあるでしょう。

この場合、簿価(Net Book Value:NBV)全額が固定資産売却損(Loss on Disposal of Fixed Assets)となります。

固定資産(Fixed Assets)の廃棄・除却(Disposal)の例

  • 固定資産(Fixed Assets)の売却(Sales)の例と同じで、機械(Machine)を廃棄処分(Disposal)した

Dr)減価償却累計額(Accumulated Depreciation)250,000

固定資産売却損(Loss on Sales of Fixed Assets) 750,000

Cr)機械(Machine) 1,000,000

簿価(Net Book Value:NBV)は750,000円であり、売れずに廃棄のため、損失が750,000円発生します。

廃棄・除却(Disposal)も、売価がゼロと考え、単純な売却と同じ処理とする。

 

 

以上、「【英文会計上級講座】<第2回>固定資産の売却・除却について学習しましょう」でした。

固定資産の売却・除却について理解していただけたでしょうか?

【英文会計上級講座】<第3回>投資有価証券について学習しましょうにお進みください。

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